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「上棟」「棟上げ」「建て方」の違いは?

2022年4月21日
「上棟」「棟上げ」「建て方」の違いは?

よく「上棟」とか「棟上げ」とか「建て方」とか言いますが、これは、おおよそ同じ意味で使われていると思います。

地域や、会社単位、業界内のポジション単位で違うようです。

  

細かくみていくと、最近は住宅業界では、棟上げよりも「上棟」という方が多いように思います。

工事サイド、大工さん達は作業内容を示す、「建て方」という言葉を多く使い、営業担当者は上棟式段取りが中心になるので、「上棟」ということが多いように思います。

例えば、「〇〇邸の建方は2日かかるので、上棟は二日目の〇〇日です。上棟式は夕方から行います。」

こんな感じで使います。  

鉄骨造の建物では、あまり、上棟という言葉を聞かないですね。「鉄骨の建て方」が通常でしょう。  

ここではとりあえずひっくるめて「上棟」ということにします。


上棟は建築において、重要な一つの区切りになります。

木造建築では、最近は「プレカット」という工法で、あらかじめ組み合わせる柱や梁などの材料を加工して現場に搬入し組み立てます。

上棟当日は、現場で大工さんが作業しますが、設計者は、事前に設計図と加工図を確認して、間違いが無いようにチェックすることが役割です。

    

【工事作業としては何をするのでしょうか?】

通常、木造住宅では、着工して、基礎工事を行い、上棟の前日までに先に土台だけ設置しておきます。地盤改良など要不要によっても違いますが、おおよそ3週間~1か月。

「上棟」では、柱を立て作業から屋根下地を施工するあたりまでを一気に行います。

建物規模などで違いますが、1日で行う場合と、1日目に柱や大まかな梁を組んで、2日目に細かな火打ちや垂木、屋根下地までの2日間で行う場合があります。

上棟当日の朝から、まず柱を立てて、梁をつなげて、垂木を載せて、屋根の下地を伏せます。

できれば、なるべく雨にかからないように、屋根の防水のルーフィングなどを敷きます。外壁に耐力面材を施工する場合は、これもできるとベスト。 

夕方までにこれが終われば、あとは、上棟式とお餅撒きです。


【お施主さんは何をするのでしょうか?】

地域やその業者などによって違いがあるので、あくまでも浜松市周辺での僕の経験上の話ですが、

住宅の場合、「上棟式」を行って「餅投げ」をする場合があります。

比較的郊外で、昔から住んでいる方のお子さん世代が建替えたり、地域のつながりが強い場合が多いようです。

新興住宅地に新たに建てる場合や、昔から住んでいる場合でも、その方が2回目の建築の場合などは、最近は行わない場合もあると思います。

また、「餅投げ」は行わず、「上棟式」だけ行う場合もあります。

ご家族と、親戚、身近な関係者だけ立ち会って、簡易的に建物内に作った祭壇で、儀式を行います。上棟式は、完成までの工事の安全と成功、ご家族や関係者の健康と発展を祈ります。

その場合、餅投げの代わりに、近隣や友人などにご挨拶として、少しづつお餅やご挨拶品を配るという形をとります。

お祭り的な賑わいは無く、粛々としていますが、今後その土地に住まうために、関係者へのご挨拶という役割は充分に果たせると僕は思います。

 

私が建築を始めた頃は、盛大にお施主様から、大工さんとともに振る舞い(宴会など)をしていただいたことが良くありましたが、時代も変わったし、飲酒運転にもなってしまうので、そういった振る舞い等はほぼなくなりました。 

シープは建築設計事務所ですが、お施主さんと工務店の間に立って営業的な役割も兼ねているので、上棟の時は立ちあうことが多いです。

設計監理としても、上棟と同時に施工のチェックしたり、納まりを確認していきます。

そうしていると、施工間違いを見つけるのはもちろん、早く空間イメージがつかめて、その後の内装デザインも調整しやすいです。

つまり、より良い建物ができるわけです。そして引き続き、内装仕上げや電気設備など、最終決定していきます。

工事が始まっても「設計活動」は続きます。


(2018年9月1日・2019年5月28ブログ抜粋・編集)